2015.8.7

榎本達也 (えのもとたつや)

プロ19年目。榎本選手を作った土台とは。

-2度のJリーグ優勝とナビスコカップMVP受賞というタイトルを引っ提げ、今シーズン東京に移籍した榎本選手。まずはプロ選手になった当時のお話を伺います。 僕がプロ選手になった時、チーム(横浜F・マリノス)には日本代表として地位を確立したゴールキーパー・川口能活選手がいました。当時は自分を含めてキーパーが5人いたのですが、僕が入ってすぐに、そのうち3人がけがをしてしまったんです。だから高校を卒業して右も左もわからず、ついていくのが精いっぱい という状況の自分がベンチに入ることになって。「ミスをしないように」「何が何でもしがみついていかないと!」と、周りを見る余裕などなく、毎日必死に過 ごしていました。 キーパーコーチはブラジル人で凄く練習をする人で、また川口能活選手も練習の鬼だったので、体はヘトヘト、練習が終わった ら寮に帰って寝て、という毎日でした。後々考えればすごく良い経験だったと思いますけれど、当時はサッカーを楽しむ余裕は無く、とにかく必死の毎日でし た。  

チャンスをモノにするには、「ハングリー」さ。

-必死にくらいつく時期を経て、自信もつきましたか? そうですね。ただ実際、5年間試合に出られなかったので。(5年間もですか!)はい。その間は自分がどれだけ伸びて、どれだけできるのかという『自分を測る物差し』がなかったので、もやもやした時期もありました。でも当時の下積みがあって今の自分があるのだと思います。 -キーパーの試合出場は運やタイミングも影響しますよね。 はい。ただ、その1回のチャンスが来た時に掴むか掴まないかというのは、結局日頃の練習に表れると思うんです。実際のところ、若い選手は「試合に出れば自分はできる」という自信は持っていると思います。ただその1回のチャンスをモノにできるかという『ハングリー』的な部分、そして試合に出られない時でも、 自分の良いパフォーマンスをグランドでどう出すか、そこはメンタルのコントロールが重要になってくるわけですが、そういったことは気付いた時に若い選手に話すようにしています。  

昨日より今日、今日より明日。上手くなりたい!

-今年でプロ19年目。これだけ長く現役を続けていられる要因は何だと思いますか? 『自分は下手だから上手くなりたい』と思っていることが大きな秘訣かな。 「試合に出られなかったらもう辞めてもいい」「ある程度のキャリアを積めたから、この辺でいいや」という選手ももしかしたらいるかもしれないけれど、やっぱり 僕はサッカーが好きなので、その好きなサッカーを一日でも長くやりたいし、少しでも上手くなりたいという欲求があるからこそ続けられているのかもしれませ んね。 とにかく上手くなりたい。何か一つでも、昨日より今日、今日より明日上手くなっていたい。自分が一日一日変化して、選手生命を終える時に「ああ良いサッカー人生だったな、良いサッカー選手になれたな」と、思えるようになれたらいいですね。  

最後に、頑張っている人へ 応援のメッセージをお願いします!

若い人の中には、失敗することを恐れて、自分の頭の中で考えるだけで行動に起こせない人が多いような気がします。まずは一歩を踏み出してほしい。踏み出した時に、それが失敗で遠回りになったとしても、その一歩を踏み出した努力が次につながる。僕は常にそれをピッチの上でも実践してきたつもりだし、これからも そうしていきたいと思っています。それはサッカー選手としてももちろんだし、人としての生き方も同じです。ぜひ皆さんにも頑張って欲しいと思います。

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調布歴30年!調布を心から愛するスタッフが書いています。